馬鹿者の生き方
向上心のないものは馬鹿だ。
夏目小説の小説『こころ』の有名な言葉だ。向上心……か。耳の痛い話だ。私は馬鹿なんだろうな、と思う。
近頃、物事に対しての興味が薄くなっているように感じる。昔は心を動かされ感動したり、理不尽な出来事に怒ったりと、感情の起伏も激しかった。でも今は薄いガラスのような透明な壁から過ぎていく日常を眺めているだけで、動かされるものが何もない。自分の生活を他人事のようにとらえてしまっているという感じ。でも、そこに満足してしまっている自分がいるのも確かで……。
多分、私は自分の人生を楽な方へと導いてしまっているのだ。
波風立たぬ人生ならば、それで良い。人に嫌われるよりかは関心すら持ってもらえないほうが、良い。刺激の少ない方へと、なるべく楽な方へと、生き方を変えていってしまっているのだ。
今の自分の生き方も、ある種の生存戦略といってしまえばそうなんだけども、このままではいけない気がする。日々の出来事に鈍感になっているのを時と共に自覚しつつある。自分は今ニンゲンらしい生き方を出来ているのか?そう、毎日自問している。
『向上心のないものは馬鹿だ』。平坦な道をダラダラと歩くのは楽だし疲れない。しかし、山に登ると目標を定め達成するのは、きっとやりがいがあるし楽しい。馬鹿野郎にならないためにも自分の人生に向き合い、向上心を大事にして生きていけたらいいなと思う。